2021/06

宗教のこと

人が生きてゆくために、特定の宗教を信仰することが必須であると考えている人は、特に日本人の中には少ないと思います。普段から宗教のことを考えて暮らしているという人も、きっとあまりいないかと思います。

とはいえ、宗教というものの存在を全く無視して生きているかといったらそんなことはないし、あちこちにある神社やお寺、新興宗教の建物など、日々何らか目にしているはず。宗教の勧誘の話は多くの人が聞いたことがあるだろうし、宗教が争いや事件のきっかけになることもあるということは、何となく皆の頭の中にあるのではないでしょうか。

■日本の宗教

文化庁の調査によると、現在日本には18万以上の宗教団体があります。その内訳は、神道系約85,000、仏教系約77,000、キリスト教系約4,800、諸教約14,000となっています。この数字は、一般的に教派、宗派、教団と呼ばれる組織の下にある、神社、寺院、教会、布教所などが含まれています。教派、宗派、教団として存在する団体は、神道系155、仏教系199、キリスト教系87、諸教32、合計473となっています。

■宗教法人法

・1951年宗教法人法制定までの流れ


・宗教法人化のメリット

法人化することによって、宗教活動の収益にかかる法人税や、宗教活動に用いる土地の不動産取得税・登録免許税・固定資産税が非課税になる他、宗教法人法で認められている、公益事業による収益も非課税となります(公益事業以外の収益は課税対象)。


■日本における宗教のあり方

現在日本において、特定の宗教団体に属する信者数は、文化庁の調査では183,107,772人となっています。1億8千万人?日本の人口って1億3千万人では??なぜこのような数字になるかというと、この調査自体が自己申告制であって、信徒の定義や数え方に関して厳密な規定はなく、各宗教団体に任されているからのようです。またそもそも、その宗教に入信する際の儀式などについても各団体によって様々であり、何をもってして信徒とするかは非常に曖昧なものとも言えるからではないでしょうか。

ちなみに、NHKが行っている世論調査(2019年)では、特定の宗教を信仰していると答えた人は36%だったそうです。とはいえ、多くの場合、結婚式や葬儀の際に何らかの宗教に関わることには多いため、全くの無宗教であるとも言い切れないところはあるかと思います。

■宗教の役割

インターネットが普及した現代において、特定の宗教に属さなくとも、その教えとするところのものや、人間社会においてそれを実践していくための方法なども、以前とは比べ物にならないくらい簡単に人々に波及させていくことができるようになっています。ずっと以前は宗教的に取り扱うしかなかったような現象も、今では心理学や精神医学などの分野で活用されていたりもします。世界中の文化と融合する中で新しい価値観や視点が生まれ、かつて宗教にすがるしかなかったような問題ごとも、問題ですらなくなっていたりもします。

以前は一部の人しか学ぶことができなかった様々な学問も、今では誰もがそれ程お金をかけずに学べるところまできています。そんな中で、よりどころを特定の宗教に求めるということは、何か特別な理由がない限り不自然であるように思えます。それでもやはり、宗教の中には先人が残した知恵が詰まっていることも確かで、今私たちがそれを学べるということはそれを残してくれた人たちがいるから。そのことは常々ありがたいなと思っています。