2022/08

四柱推命

四柱推命は難しい、奥が深いなどと言われますが、ルール自体はそれ程難しいわけではなく、むしろシンプルで、拍子抜けするくらい規則的だったりもします。

奥が深いと感じるのは、そのようにシンプルで規則的で、取ってつけたようなルールであるにも関わらず、人間社会の営みを絶妙に表現しているところではないでしょうか。

四柱推命で表現されているのは、ある意味高次のシステムであって、思考では捉えきれないところのものではないかと感じさせられることがあります。

例えば、はじめはひとつであった肉体の細胞が、増殖し各々自然に持ち場に収まるように、我々人間も、この地上で繁殖し、各々が持ち場で役割を全うすることになっている、というようなこと。

より広い視点から観察した時に、そこには、ある一定の法則を見出すことができ、それをぎゅっと凝縮して表現したものが、陰陽五行であり、四柱推命のような占術(学問)は、それを記号化し人が活用しやすくしたものであると言えるのではないでしょうか。

記号の裏に流れる法則を読み取ること、文字情報に凝縮された、より大きな意思の様なものを感じ取っていくこと。そのことによって、自らも自然の一部であることを自覚し、調和の中で自らの理想を実現していくこと。万人に当てはまる絶対的な答えがそこにあるわけではなく、あくまでも一人一人が主体的に活用するツールであるということですね。

ということで、そのツールである四柱推命について、概要といくつかのルールをまとめてみたいと思います。

<目次>

■四柱推命の成り立ち
■四柱推命の起源
■命式の立て方・見方
■各種ルール
■まとめ


■四柱推命の成り立ち

四柱推命の基盤となるのが、陰陽五行という思想です。古代中国で生まれた思想で、全ての物事には陰陽が含まれていて、更にその性質を木火土金水の五つに分類し、様々な事象を理解していくというもの。( 陰陽五行についてはこちらもご覧ください。)

記号として用いられるのが、「十干・十二支」で、元々は数を数えるために使われていたもの。そこに様々な意味を当てはめ、陰陽五行思想ときれいにマッチングさせて、人の運命や現象を推し量るために活用するのが四柱推命です。

四柱推命は統計学であると言われることもありますが、それは何人もの人を鑑定する中で、必然的に”傾向”が見えてきたり、一定の法則が自然に見出されたということであって、学術的に統計学として発展してきたものでないことは、明らかではないでしょうか。


■四柱推命の起源

陰陽五行思想自体は、その発端を紀元前数百年頃まで遡ることができそうですが、現在日本で広く知られているような四柱推命は、多くの研究家が現れた江戸時代以降から、徐々に形になってきたようです。

『淵海子平』『滴天髓』などの書物が中国よりもたらされ、阿部泰山氏が日本の推命学を発展させたとされています。現在は多くの流派があり、枝葉末節のみにこだわる傾向もあるようですが、起源を辿れば陰陽五行のシンプルな法則のみがあるということです。


■命式の立て方・見方

生まれた年・月・日・時を四柱とし、それぞれに十干十二支から成る二文字を導きます。これは、既に計算されて決められている旧暦(太陰太陽暦)を使用します。「年月日」を現行の暦から素直に引っ張ってきます(節入り日など若干注意が必要)。「時」についてもルール通りに出します(後述)。十干の部分を天干、十二支の部分を地支といいます。

究極的には、この八字だけを見て、そこに含まれる陰陽五行の性質やその並びなどから、直感的に観ていくのが四柱推命ともいえます。ゆえに、この八字が命式とも言えるかもしれません。

それを、より人生に活用しやすく具体性を持たせるために、「格局」というものを定めて見ていくのですが、現在はそれも簡略化され、「通変」「蔵干通変」「十二運」などによって”占い”として誰もが利用できるようになってもいます。いずれも、日柱の天干と、他の柱の天干及び、それぞれの地支に含まれる蔵干(後述)との関係性から導きます。

「格局」は言ってみれば、四柱推命研究における先人の試行錯誤の過程なので、深入りする必要はないと思っています。参考にしつつ、最終的には八字に立ち返り、自分自身を表す日干が、他の干支によって強められているか弱められているか、助け合っているかなどを総合的に見ていくことです。その時に、次にまとめる各種ルールを参考にします。


■各種ルール

※主なものだけを簡単にまとめてみました。(各項目をクリック)

・干支番号
・時柱干支
・十二支の要素(蔵干)と象意
・通変・十二運
・三合局・方合
・干合・支合
・大運
・天中殺
・異常干支
・冲・刑・害・破

■まとめ

以上、ざっとまとめてみましたが、実際に鑑定をさせていただく時には、これらの情報はあくまで補助となります。考えてみれば当然のことですが、我々生命は、このようなルールよりもずっと先にこの世界に誕生してきているわけです。占術のようなものは、いわば後付けの理論なので、その中からより純度の高い情報を読み取っていくことが、鑑定の醍醐味でもあります。

占いというものを、いわゆる霊感だけに頼ってしまうことの危険性は、今ここでは述べませんが、四柱推命のようなツールを正しく活用することで、その危険性はだいぶ減るのではないかと感じています。言ってみれば、四柱推命は地に足をつけるというか、人間社会にすっと視点を移動するような役割があります。

本来であれば、占いに頼らず生きていくことの方が自然なのでしょうが、なにせ“面白い”のでやめられないのです。私が四柱推命を学ぶのは、「面白いから」というひと言に尽きます。命式を眺めていて、“なんでこんなところに、そんなことまで隠れているんだろう!”と驚くことが楽しいのです。

そして実は、その外側へ出ていくことができるというのも真実。先程も書いたように、“生命の方が先”なのです。数千年(数万年?)くらいの間に様々なもの(いわゆるカルマとか)が溜まってしまったかもしれないけれど、逆に言ったらそれだけのこと。そもそものはじめは、ただ生命の輝きだけがあったわけです。…と、そんなこんなも念頭に置きつつ、先人、先達への敬意は忘れずに活用させていただきます。